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. あらすじR  
 昨夜の本編[125]は「それ以前」の問題があるのでなかば茶化して書いているが、私の映画評は、いかに字数制約がある場所(ヘンな日記だ)とはいえ、最低限のあらすじ紹介を怠っているので、まことに映画評の体もなしていない。なので今夜は、「マレーナ」についてきわめて短く、その試みを――。
 1940年代のシチリア。マレーナという、男なら誰でも視線を釘づけにされる美貌の、そして豊満な肉体をもつ、女がいる。軍人である夫が出征、戦死するところから、彼女は運命によって弄ばれる。生きるために土地の名士や軍人を相手にする娼婦となり、やがて終戦によって駐留軍人たちが去ったときに、町の女たちによって私刑を受ける。マレーナは傷つき町を去るがそのあと、死んだはずの夫が負傷の痕も痛々しく帰ってくる。夫の不在中に彼女の身に起こったことを、しかし町の誰も説明できない。否、ひとりだけ例外がいた。彼女にあこがれ、ほとんどストーカーのごとくその生/性を窃視しつづけた少年レナートがそれ。夫は少年からの手紙を手がかりに妻を捜しに出て、やがて2人で町に戻ってくるが、映画は全編、すなわちその帰還までのプロセスが、その冒頭で買い与えられる自転車に乗って町を往来する少年の視線をとおして描かれる。否、ナレーションの声が、のちの老いたるナレートであって、つまりこの「枠」の設定が凡庸きわまりないのだが…。
 と、最低限のあらすじを書こうとするだけで日記スペースの半分超を占めるので、今後も開き直って映画評「未満」の感想そしてそれを見るにいたったつまらぬ経緯などを書いて、お茶を濁すのだろうな。
モダニスト 2002/08/19月01:21 [143]


. 全身がR  
日に焼けてじりじりと熱い。右腕だけはこの夏の長距離ドライブの歴戦のあとを、文字どおり色濃くとどめていたが、その部分とはちがって赤く、カンカンに火照っている。いずれにしても、不健康に美術やら音楽やらを講じている人間には似つかわしくない状態であることは、たしかである。以上。
モダニスト 2002/08/15木00:52 [142]


. きょうの出来事R  
 午前。下賀茂神社内の「糾の森」で開催されている「下鴨納涼古本まつり」へ。とくに期待していなかった。むしろ子の体力を浪費させるためにそこを選んだといってもいい。が、それなりの釣果はあった。そのブームのさなかに発行された「Psychedelic Art」や、長らく絶版のマルロー「王道」、そして「世界オカルト事典」や「聖者の事典」などの古本市でしか買わない類の本。
 午後。妹夫婦を迎えるための掃除と、CDの配架。いくつかのジャンルに分けるには分けたが、じゅうぶんな分類には程遠い。しかもスペースの関係で手前と奥と、2列に並べた棚も多い。奥に配架されたものに陽の目が当たらないのではない聴取を、というのはしかし、音楽的な聴き方ではない。
 夜。ひたすら採点。きょうも飛び抜けた答案には出会わず(そのまま模範解答とすることができそうな、そのような意味での見事な答案はあったが、それでは疲れを癒してはくれない)。
 明朝は奈良に発つ。プールなんぞに入りたくはないが、まあ仕方がない。
モダニスト 2002/08/14水01:25 [141]


. 不調の理由は…R  
いまや明白である。保育所が休みに入った子が走り回る「火宅」(と書いておこう)で何とか日に数十枚はこなしている定期試験の採点作業が、文章を書く意欲を完全に殺いでいる(今年はアッと驚くような名解答にまだ出会っていない)。去年はどうだった? たいして中味のないことをずいぶんたくさん書いているな。ああいったのでもいいのなら書けそうだが、ひらがなでゴマかすスタイルは放棄したのである。ちなみに明日は久びさに、東京から実妹夫婦(+子2人)が関西をおとずれる。まずは奈良の実家に向かうはずだが、こちらも一日遅れで短距離帰省の義務を果たして(14日;たぶん「あやめ池遊園地」でプールなんかにも入ることになるだろう)、翌日(15日)からは一泊で京都に一家を迎えることになる。わが家のシアターで子らに見せるために「千と千尋の神隠し」のDVDなども購入してしまった。小さな一族が見〔まみ〕える、それなりに寿ぐべき日々となるだろうが、本編にアップできる内容が書けそうな予感がまったくしない。
モダニスト 2002/08/13火00:43 [140]


. 今夜も…R  
 800字に満たなければまた2「メモと私情」に流せばいい。採点作業の合間の息抜きに、とりあえず書き始めてみよう。
 わが家の動物たちの、その後。――魚津に帰省している1泊(8−9日)のあいだにメダカが全滅した(私が発つ前に3匹まで減っていた)。そして今朝、子クワガタムシが死んだ。メダカや金魚が死んでも泣かなかった子が、この件では泣いた。こういうものだと諦めればいいのに、母親の判断で、代わりにカブトムシを買いに行くことになった(北大路VIVRE)。オス1匹850円が高いか安いか知らないが、いきなり「お盆を過ぎたらあまり長持ちしないかもしれませんよ」と店員にいわれた。ついでに金魚について訊くと、長辺が30cmほどの水槽に10匹ほどは多すぎるとのアドバイスを得たので、もう一個買い足して2槽に分けることにした。新しいほうに、ザリガニの水槽のポンプを移した。すると今夜の「動物奇想天外」(TBS系)で偶然、ザリガニは酸素を好むと紹介していた。たしかに心なしか、不機嫌そうにみえる(ザリガニが)。
 ――と、今夜はここ(2/3の量)で息切れ。
モダニスト 2002/08/11日23:42 [139]


. 途中挫折の草稿([123]用)R  
 昨夜、たとえば日ハムの輸入牛偽装問題にまつわって一文を草し始めたが、アップするのにふさわしい内容――といってもわが書き物だから大方予想はつくだろうが――に達する以前に、まずは800字が埋まらない。お盆明けまでに採点を済ませなければならない答案が350枚ほど残っているから「採点モード」と呼んでこの集中力不足を説明したいところだが、採点作業そのものが未着手の状態であってみれば、この言い訳も当たらない。
 実も蓋もない書き方を許すならば、ただの「夏バテ」なのかもしれない。暑さが例年にも増して苛酷というのではないのだが、11日間(7月30日〜8月9日)で2500km超を駆ったわがカーライフも影響するところとなって、[…]
モダニスト 2002/08/11日00:15 [138]


. 魚津R  
魚津に来ています。母子は今夜で4泊目ですが、ネコをはじめとする動物の数かずの飼育があるので、父は1泊だけです。それにしても今夜も死ぬほど飲みました。義父も相当飲んでいるのですが、酔ったそぶりすら見せません。体質がちがうということでしょう。では、つぎは京都からまじめに。
モダニスト 2002/08/08木22:21 [137]


. 追記R  
重大なことを書き忘れていた([122]を書き込んですぐにそう思い至った)。4日の夜(帰洛した直後)から、重量はいちばん軽いのにわがメインマシンの地位を占めているFIVAから、音声がまったく出なくなった。ミュートをチェックしている、なんて間抜けなことはもちろんしておらず、とにかく突然の事態なので、いつもお世話になっているお助けサイトに相談してみたが、解決せず、てなわけで、ただでさえ多忙にしているのに数時間をこの調整のために食った。結論的に、ハードの故障だろうということになった。お盆をあいだにはさむので当分帰ってこないだろうが、とりあえず明日、修理に出すことにする。(たぶんコレが日記をさぼっている第一の理由だ。)
モダニスト 2002/08/07水01:31 [136]


. 訂正はしないR  
本編[120]をアップして30分ちょっと。見直してみると、本編では使わないつもりだった「ぼく」という表現がとられています(本来は「私」)。でも、直すことを面倒くさく思う程度にはまだ酔っているので、そのまま訂正しないでおく。(さて、アーカイヴ収載時はどうかな。)
モダニスト 2002/07/31水00:44 [135]


. 「理事会」はいわゆる理事会そのものではないが、そう表記されるにふさわしい。R  
本編[102]への補足or注記ですが、まさに標題のとおりです。じっさいは半期15週の学事暦強行の責任主体は、教学部と呼ばれるセクションなのです。ですがしかし、ここの方針はつねに理事会の意向をくみあげたようなものとして、われわれ教員の前に顕われてきます。なので私は、確信犯として本編のように書いたのです。ということです。
モダニスト 2002/07/13土02:19 [134]


. 私の樹(本編[100])、への補足R  
庭のシャラの樹についてだけ補足しておく。その樹の下に、2年前に逝った愛猫タマ([063]を参照)のお骨〔こつ〕を埋めたいのである。埋めようにも、私(たち)自身がまだ愛着のもてる土(地)を見いだせなくて、ずっとリビングの片隅におかれてきた、白い箱のなかにはいったヤツを。(それを実践する、そう遠くない日のことはまた本編で報告されるだろう。)
モダニスト 2002/07/11木00:14 [133]


. 失われた時…、への補足R  
本編[097]「失われた時を憂えて」に補足するのですが、お助けサイトのアドバイスを得て「から」20数時間を復旧作業に要した、と読まれるとすると、それはわが拙き文章が与える誤解といわなければならない。そうして藁にもすがるつもりで駆け込んだのが2日目の午後で、しかし駆け込むといったって実際はネット上の掲示板への書き込みなわけですからその後、最初のレスをもらい、いろいろとインターバルをはさみながら4、5時間を、そのアドバイスによりながらの復旧作業に要した、ということです。いずれにしても、PCにありがちな、原因が明確にはわからない類の不具合なのでした。
モダニスト 2002/07/08月11:37 [132]


. 重大訂正&謝辞R  
 [091](現時点ではまだアーカイブ化されていない)で触れた「夏越祓」が、東京でもおこなわれていることを、あるひとの日記を読んで知った。そういえば、こんなお札が貼られていたような気がしないでもないが、そんなことよりも、これに「なつこしのはらい」と読み仮名を振っていたことが何より恥ずかしい。正確には「なごしのはらえ」だそうだが、たしかに「なごし」とキィを叩くと「夏越」と出る。常識に属する話題なのかもしれない。穴があったら入りたい気分だ(調子に乗って[092]、[093]と連続アップしている場合ではなかった)。
 ちなみにそのひとの日記の、上に係る指摘は、ほぼ100%の確率で、恥ずかしいわが日記への応接として書かれている。ひそかに読んでいる日記のURLはそう簡単に明かしたくないものなので、ここに記すことはしないが、深甚なる謝意を表明したい。
モダニスト 2002/07/03水01:36 [131]


. ただいま放送中R  
いつまでも亡きひとの思い出に係る文章が最新の位置にあるのも何なので、こちらにも一点の走り書きを。――バーンスタインの映像が終わってから、速攻で本編を書いてアップし終わると、ちょうど鴈治郎・玉三郎の「心中天網島」が始まった。いつのまにか五十を越えている(はずの)玉三郎がいい。熱狂的な人気を誇った以前より、はるかに。その小春の偽りの愛想づかしに、いま怒り心頭の治兵衛こと鴈治郎(ハマり役すぎて見ていてあまりおもしろくないのでこれを打っている)は、さすがにこれからはもう下り坂だろうから、今夜のこの放送を見逃す手はない。ちなみに鴈治郎は先日、女遊びがバレた。さぞや奥方(扇国交相)にしぼられたことだろうが、梨園には世間の眼などおかまいなしに、どうか老境に性の理想を生きてほしい。本音だ。
モダニスト 2002/06/30日23:04 [130]


. イサムさんのレコード鑑賞会・補足R  
予定どおり授業に支障がないように帰洛した。いや、出発は5:40と予定より早かった。朝ご飯をSAできちんととったけれども、9:20ころには京都東ICを降りることができた。そこからがいけなかった。五条方面にいちど南下すればよかったものを、そのまま三条蹴上に向かったものだから、拡幅工事による大渋滞に巻き込まれて、ICを降りてからの十数キロに1時間20分もかかった。それ以外の340キロ以上に疲れた。もちろん午後の授業2コマも疲れに追い討ちをかけた。
それはいいとして昨夜、そこそこ酔って書いたのだけれど文法的には破綻は見当たらない本編[089]に内容上の補足を。つまり、イサムさんが公民館で開催していたというレコード鑑賞会の件なのだが、通夜の会場である自宅をおとずれて事情がわかった。隣が公民館なのである。で、そこにいちいち器材類を運び入れたのではなく、観客が公民館から隣の民家に流れてきた(公民館は二の次のひともあったろう)。ちなみに、そのプレーヤやらスピーカが置かれているらしいあたりは祭壇になっていて、もしかしたら遺体が安置されていたあたりが左右の音が出会ってホールの音場となるベストポジションだったのかもしれぬ。病気の告知後、さまざまな死支度をしたというからこれも計算ずくであったかもしれぬ。
モダニスト 2002/06/27木17:16 [129]


. 修正報告R  
速攻で書いて22:00すぎにアップした、本編の[087]ですが、直後に見直したら直したいところが出てきたので、直しました。が、その間にすでにカウンタが一つ回っておりました。微細にすぎる問題ですが嬉しく、しかし悔しくもあることなので、ここに記して、気分を和らげたいと思います。
モダニスト 2002/06/24月22:43 [128]


. すべったR  
はっきりいって今日(正しくはもう昨日だ)の講演――本編の[082]で触れている――は、すべった。準備不足もさることながら、与えられたお題がふだんの関心の枠を越えていたことが、やはり何より救いがたかった。授業も含めて、こんなすべり方は久びさだ。反省したい、と同時に、早くつぎの[083]を書いて、語り部としての切迫した意識を欠いた[082]は消し去りたいが…、う〜ん、今夜は明日、明後日までの雑用(なんでこんなに多いのだ)に追われて、30分の執筆時間すらがとれない。ま、雨ざらしのようにしばし放置するほかない。
モダニスト 2002/06/19水01:02 [127]


. もう一つの受難劇R  
右の[075]を書いて、寝ようかなと思ったら、BS2――これも明後日25日の朝にアンテナをはずすとしばらく見られなくなる――で、ブレッソンの「ジャンヌ・ダルク裁判」が始まった。うら若き女性が火あぶりにされる光景をただサディスティックに楽しんでいるだけという可能性も否定できないが、いずれにせよ、この受難劇をぼくが愛好していることは確かである。だが、明言しておく――最高のジャンヌ役は、あのジーン・セバーグ――みずからも受難劇のヒロインのごとくにして死んだ――である、と。
モダニスト 2002/05/24金03:18 [126]


. 何百万回R  
本編[066]で、2000年4月17日にわが「第2室」で起こったデータ消失事故のことを「何万回かに一度」と書いたが、じっさいは、いまも「第2室」のタイトル下に注記しているとおり、「何百万回かに一度」しか、それは起こらないそうだ(データの復旧を望むぼくの懇願メールにたいしてt-cupから寄せられた回答に、そう謝ってあった)。ちなみに、こう些細な訂正をするだけではつまらないので記すなら、ぼくは、タマの死とその事故が同じ日に起こった偶然を偶然と解さないロマンティシズムを所有する。悪いか?
モダニスト 2002/04/28日04:25 [125]


. 言い訳R  
 書くべき話題がないわけではない。だが800字と字数を限って、ある張り詰めた気分で日記を書く余力がない状態が続いたので、サボっていた。だったらコチラに書きなぐればいいのに。そのためにこういうシステムをつくったのに。
 さて、ようやくに書いた[065]はしかし、いまいち文章も冴えない。そう、文章として冴えない。スランプである。ゆっくりと、ただ文章についてだけ考え、いまの状態を矯正したい。だが、状況がそれを許さない。
 こんなことを愚痴るものではない。そんなことはわかっているが、本編を更新したので、ついそれを許してしまっている。ま、よしとしよう。
モダニスト 2002/04/24水02:27 [124]


. 連絡R  
 2時間ほど前に本編[062]をアップしたのですが、[051]から[060]までの分をアーカイヴ化する作業は、時間がなくて、できません(月曜日の日帰り東京出張を終えるころまではたぶん)。日記を書く時間があるのに、とはいわないでくださいな。
 ちなみに、その本編にたいしてこの2――旧約の知恵にならってここを「外典」と呼びましょうか(笑)――のほうが[123]で、いくらか削除もあるものの数的におおよそ倍ですか。本編を2日に1本書くのはやはり授業期間に入るとむずかしそうなので、せめてこの1:2の関係は維持したいと考えております。
モダニスト 2002/04/13土01:39 [123]


. 訂正の訂正R  
下の[121]中、二重のカッコ内に記した「彼(女)らも性格には「素人」だが」の部分の「性格」は、もちろん「正確」である。つぎからはぜひ性格を期したい。
モダニスト 2002/04/04木09:48 [122]


. 訂正R  
…をしたいのだが、昨夜投稿の[本文]について、ではない(そうでないからといって、そちらに訂正事項がないわけでもない)。
 その[前注]において、4月新番組「マネーの虎」をバラエティ番組と記した。冷静に考え詰めればそのようなものであることを、ほとんど無意識に感じ、記したのだが、ありていには素人参加番組とすべきものであるのは明白である(一代で財を成した/つつある[若手]企業家[彼(女)らも性格には「素人」だが]たちの前で、企業意欲のある若者が基本的に言葉でプレゼンし投資を求め、またたいがいはズタズタになって追い返される、視聴者の上昇、SM、カタルシス願望に訴える形式だ)。
 いずれにしても、それがゴールデンタイム枠で始まるのは19日(?)で、いまは深夜の広報用ヴァージョンが流れるだけだが、…初回2時間枠拡大版については「ドラえもん」ならびに「クレヨンしんちゃん」とバッティングするので、ビデオに録ろうか、などと。(ただの通俗的な「視聴者」じゃん!)
モダニスト 2002/04/04木09:43 [121]


. 久びさの草稿R  
●[前注]
授業初日前日なのにヘラヘラと私事をこなしながら日付の境目を越え、次にこの4月から始まる「マネーの虎」というバラエティ番組の深夜予告編を見て何だかムラムラとやる気が出たのでPCに向かったら、本編連載中(笑)の「絵画(論)について」の、いつもだったらそのままアップする程度の字数(750〜800字)に一気に達した。だが[059]が少し前にアップしたばかりで2、3人しかまだ読んでいないという事情(笑)もあるので――しかもそれは明4日いっぱい有効な話題だ――、久びさに草稿のごとくにして、こちらに掲出してみようと思う。
●[本文]
[予060]「[題未定]」
[承前[055]]
 射影の語をもちいて、スクリーン上に結ばれる一個のイメージについて真理を語ることの愚を語りつつ、しかし岡崎は、自身が語ることは100%正しくしかありえないような、一種のトゥルーイズムに陥っている。これが、ルネサンスの専門家でもない私が、その本(『ルネサンス 経験の条件』)をそう深く読み込みもしないで揶揄する、根拠の一つである。
 そう、岡崎の解釈についてわれわれは、当たっていてほしいと願う必要もない。それは当たるほかないからである。16分の1のズレが劇的に解釈を盛り上げる場所では、それが正確を期せばさらに微妙なズレであらざるをえないとしても、正しさを隠蔽する詐術として称揚され、やはり結果的にその正しさを強固にするのであろう。あるいは今後発見されるやもしれぬあらゆる細部も、岡崎によって100パーセント説明されるだろう。その意味ではあの、磯崎の威を借りて語られたスタンダール・シンドロームの語の召喚は、まことに正しい。じっさい、「この発見は震えるほどの驚きをもたらした」と語る直後に、句点を打つよりも早くカッコに入れて、彼はこう告白するのだから。――「(実は自分がいままで制作してきた絵画の方法論と同じだったのだが)」
 したがって、そうした「方法論」で制作してきた岡崎が、言葉のうえで「一枚の絵画の現前」を攻撃することは、勝手という以上に論理的に正しい。
 だがネ、ヨイショしてくれる『批評空間』誌上での座談会で「グリーンバーグをやっつけても仕方がないからアルベルティを」と発言するのを読むにいたっては、私は失笑を禁じえない。なぜといって、グリーンバーグがただの平面を称揚してきたかの議論もさることながら、そこには、一枚の現前でありながら/であるからこそ多様である絵画の本質にかんする重要な観点が欠落しているからである。
[次号で完結(するワケないだろ)]

●[後注]
  文中の引用は、今夜の時点では現物にあたることもせず、ただ記憶に頼っている。本編に再掲出するさいはその正確を期したい。
モダニスト 2002/04/04木02:24 [120]


. 追記R  
 大事なことを書き忘れていました。下の[118]からリンクを張った写真4枚のうちの右下のヤツにかんして。
 同じく本編[056]でふれた「桜のトンネル」ですが、ライトアップされていることは知っていましたが、走る車中の電灯を消すなんていうオツな演出までなされているとは、知りませんでした。そのためだけにわざわざ乗ろうとまでは思いませんが。
モダニスト 2002/04/01月15:37 [119]


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2024/05/04土04:31