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ビンラディン証拠ビデオの見方[深夜の速記メモ版] 
 トラボラだかの民家から見つかったという、いわゆるビンラディン証拠ビデオを、当初そういう論調があったようにあのヒゲの人物がほんとうにビンラディンであるのかどうかを疑いながら見るのは、心底馬鹿げている。
 理由は、端的に2つ――。
 (1) こんな確実な物証を待って判断することは、単純左翼思想家には許されても、政治家には許されない。そしてそのような意味のかぎりでの政治的判断のための素材は、じゅうぶんにあった、といわねばならない。
 (2) 軍事行動への反対は本質的に、ビンラディンが犯人であったとしてもなおそれへ反対するというものでなければ、多少ともの意味すらも有さない。軍事行動への賛否に関わるのは、証拠ではなく、論拠である。
 それにしても、なぜこれが民家から見つかったのか、の問いについては、少なくとも管見では未だ誰の口からも聞きえていない、以下の分析が、いちばん妥当であると、私は自負する。
 つまりあれは、わざと民家に残された。
 あのテープでは、たとえば夢にまつわる興味深い会話が聞かれる。また、いくつかの発言内容には、イエスのそれを思わせる、比喩的なウィットすらがある。残されたことで、われわれはそれを見る/聞くことになった。
 そもそものビデオの収録については、日頃からビンラディンの映像を残すスタッフがいるのだろう、という指摘は、いかにもありそうなことである。
 このたび「発見」されたテープは、ビンラディン主犯説を疑い得ないものとするが、それで目が醒めるのは、正確には右でも左でもない思索なき人びとなのであり、つまりいまそのことを隠しても仕方のない局面で彼は、みずからのメッセージを世界にたいして残すこととした。
 思い出してもみたまえ――テロ後、数週間を経たころから、彼の発するメッセージを極力、具体的な映像・音声によっては放送しないように、との要請が各種メディアにたいしてなされていたことを。ところがいまやアメリカ政府がまんまとそのメッセージを伝える、文字どおりのメディア(媒介者)になってしまったのである。彼が主犯であることを示す必要性があるという判断はわかるが、今回の軍事行動の意義をすでにじゅうぶん理解している者にとっては、なんともそのような無防備な資料公開の仕方は避けてほしかったと思う。
[以上は、12月20日(木)の授業「表象批判II」で話したことの一部と重なり、当日記にも記すであろうことを下の[59]でふれている。]
モダニスト 2001/12/23日02:42 [61]




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