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Cさんへの手紙――別稿・ブラームスはお好き? 
 数日遅れとなりましたが、約束どおり感想を記します[いろんな意味で私生活が不調なのでまたしても私信を日記[本編[181]の補足]用に。字数はどうしても800字には収まらないのでこちら[=2]に記します。]
 まずメインのP協。P協にかぎらず、ブラームスの協奏曲は大好きです(趣味が悪いのは承知してます)。じっさい、大学の教員紹介ページで「指揮者かチェリストになりたい」と書くときのチェリストとは、勇ましくドヴォ・コンを弾いてしまうロストロみたいなソリストではなく、そのP協第2番アンダンテ楽章のチェロ首席用メロディを弾きたいがため(わがシュタルケルのシカゴ響首席時代のCDが出ています)。で、その伝でいって指揮者になりたいと書くのも、P協第1番でグールドと意見が合わず、でもコンサートは開かねばならないのでやむなく演奏前にその不一致/そして今宵はソリストの言い分にしたがって振る旨を言い訳したあのバーンスタインのような経験をしたい、といったような意味なのでした。つまり、ともにブラームスのP協絡みというわけ。
 で、当日の演奏ですが、ソリストのUさん。すごいですね、この難曲を最後まで楽々と弾き切ってしまう。かつてプロのオケをバックにして息も絶え絶えの演奏をしたピアニストを目撃したことがある人間からすると、まさに爽快でしたが、不満があるとすれば、ブラームスはもう少し暗くもあってほしい(笑)。
 オケ。終演後にアンケートにも書きましたが、この強靭なソリストに拮抗するには、協奏曲の「伴奏」のように考えず、つまり遠慮せずガンガンと我〔が〕を出して弾いてもよかったのかな、と。じっさい、苦労の末に書き上げた第1交響曲に20年ほども先立つこのP協第1番は、ピアノ伴奏付き交響曲とあだ名もされたのですし。
 そんなこともあって、このP協が当夜のメインであったことが、ぼくには残念に思われました。今回の演奏会が実現した経緯からその演奏順が要請されたこともあったかとは思いますが、プロのオケに世界的なソリストが降り立つときでも、ふつうは協奏曲のあとに交響曲がおかれますね。つまり失礼にならない慣例だと思うのです。で、そうやって、自分たちが主人公になって思いっきり演奏して、そしてアンコールもオケがやる。――こうすべきだったと率直に思います。
 かくて異例にも開演直後にあの冒頭の大合奏を轟かせることになった第1交響曲、その滑り出しは正直、イマイチだったかな、と。じゅうぶん暖機運転されていないのだから仕方ないという気もしますが、ふつうより遅めのテンポ(これはもちろん指揮者の判断)が、なおいっそう遅く感じられました。
 前半はさておき、その後は尻上がりに調子は上がっていきましたね。第4楽章の有名な旋律もこのうえなく美しく聴かれました。これでもう少し、指揮者自身のパフォーマンス(大事です)が色っぽいものであれば、感涙ものだったと思います(見ている側からすると堅実に過ぎました)。
 ――といった感じで、勝手なことを書いてしまいました。ブラームスの名を冠して、じっさいブラームスだけをプログラムにおいて演奏会をやってしまう、なんて、隠れブラームス・ファンとしてはうれしいかぎりですが、このあと行き詰まらないかな、と心配しないではありません。それとも、ほんとうに今回の演奏会のためだけに組織されたのでしょうか? ひそかに次の展開を期待します。
 それでは、以上とりいそぎ。お仕事、がんばってください。
モダニスト 2002/11/06水23:24 [167]




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