サッカーおばかさん!
父と犬と著名人
※Twitterにアップしたもの(この長文を…)に、修正・書き足しをしたものです。
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私がまだ実家に居て東京に在住していた頃、父は毎早朝、大きな公園に犬を連れて出かけていた。やがて幾人もの犬パパ友も出来て、中でもとある変わった飼い主さんがいる話をしてくれた。
中型犬を飼っていて、そのコが言う事を聞かずにいつも振り回されているらしい。父と同年配の男性らしい。父とうちの犬の関係に憧れ?があるらしい。
父がシェパードを並走させながら5キロほどのランニングを終えてベンチ近くでストレッチをしていると、たまに話しかけてくるらしい。(他の飼い主さんたちと特に交流はしていなかった様子)
ある日
「ねえ、どうしておたくの犬はそんなに言う事きくの?」
と父は問われ、
「さあ、分かんないなあ」(犬種の差だと思う)
ベンチに腰掛け、互いの犬を傍らに水筒の中身を飲みながら一休憩しつつ、また彼が突然に問うには
「あなたサラリーマン?」
「そうだよ」
「ねえ、定年ってどういう気持ちがするものなんだろう」
「さあ、まだ来てないから分かんないなー」(当時)
父は「変な事訊くなあ、この人定年ない仕事なのかな」と思ったそうだ。
「まあその時が来たらやっぱり寂しいかもね」
「なるほどねえ」
みたいな適当な会話をしてその時は切り上げたと。
何か変わった人なんだよ、と朝食の時に父は話してくれた。元気よくリードを振り切る飼い犬をよく追いかけ回してて、なかなかに大変そうだ、と。(スポーツマン体型ではなかったらしい)
長期間来なかったりまた毎日来たりと不規則なのも不思議で、それも犬がハシャいで収拾つかないひとつの原因なんじゃないかなあ、的な事も。←でも「あなたは何してる人?」とは訊かないおおらか?な我が父(笑)
ある日、テレビの前で洗濯物を畳んでいた私と母に、
「あ、このテレビに今出てる人。この人だよ公園で会う変わった男」
私&母「山本寛斎じゃない!!」
「有名な人なの?」
「世界的ファッションデザイナーですよ!!」
「ふうん?」←分かってない
「ああそういえば、いつもどこで売ってるんだと思うような派手な柄のシャツを着てるな。色も凄い」
私&母「それは絶対に山本寛斎ですよ!!!」
ああ、そら定年ないわ…。
「ここ半年ぐらい会ってないなあ」
「ロシアの赤の広場でファッションショーしてたからね…」※そのインタビューをテレビでやっていた
その後何年も経って両親は東京から引越し、愛犬シェパードも寿命を終え、父が次に迎えたのは「もう大型犬は年齢的に無理だから」と[イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル]という中型犬だった。
父が「どうしても飼いたい」と妙に拘り、関東中のブリーダーに問い合せまくって、少し待たされてようやっとその犬を迎えた。犬種そのものが初耳だった母と私は「なんでその犬種?」「どこかで見かけたのかしらねえ?」「確かに綺麗だけど」(犬図鑑の写真を示して熱くプレゼンされた)
山本寛斎氏の愛犬がスプリンガーだったと知ったのは、そこから更に10年近く後の話である。
物凄くヤンチャでなかなか言う事をきかなくて手こずるタイプ。「猟犬」と父に聞いていたので賢いのかと思ってたら、「跳ねて鴨の群れに突っ込んで飛び立たせる」のがお仕事の猟犬とな…。(以前にも彼女(犬)の事はこのブログに書きましたが、ほんっっとーに言う事きかなくて、両親の旅行で面倒を見に行った私は軽くブチギレましたよ!)
ええ、「スプリンガー」の名に恥じぬジャンプ力と、中型とは思えぬ引きの力ですよ。どうして名前で気付かなかった当時の私(と母)。
母が寛斎氏の犬種と一緒だと知った時は
「なんでそれ(飼い主の言う事を素直にきかない)を知ってて、わざわざ選んだの!?」
と驚いていた。私も驚いた(笑) 自分なら躾けられると驕ったのか何なんだか…??
お互いに相手の犬種が羨ましく思えてたって事なんでしょうか。よく分かんないけど。
現在も父のスプリンガーは老いつつもまだ元気に、父と毎朝海岸を走っているそうです。
そんな思い出話。
──山本寛斎氏のご冥福をお祈り致します。
2020年07月28日(火)
No.684
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