野球は会議室でやっているんじゃなく球場でやっているんだ!

第35編

俳聖・松尾芭蕉の代表句に、「古池や 蛙飛び込む 水の音」というのがあります。私はある高校のグランドで行われていた練習試合中のある光景を見て、以下のような俳句を思わず詠んでしまいました。
「グランドや 響きわたるは ビンタの音」
NHK俳壇のように解説しますと、ある高校の4番打者がチャンスで凡退してベンチに帰ってきたところ、監督は大激怒。始めは大声で選手を叱責していただけだったですが、その後グランドに響きわたるようなビンタの音が聞こえてきました。それも一回や二回などではありません。少なく見積もっても20数回。往復ビンタの雨あられ。殴られている選手が守備位置につけない為、当然のことながら試合は一時中断。高野連は監督の暴力を禁止している旨の通達を出しているようですが、「グランドや 響きわたるは ビンタの音」的光景なんて、高校野球の現場では日常的なもの。「グランドでの指導者による暴力は暴力ではなく、愛のムチだ」と勝手に思い込んでいる監督さんや部長さんや高野連幹部がほとんどだから、不問に付されているのでしょう。こういう帝国陸軍的鉄拳制裁は、21世紀になってもなかなか廃れませんね。監督さんがこんなことをやっている野球部は、部員間でも帝国陸軍的鉄拳制裁が横行していることは確実。こんな荒んだ光景を見たら、芭蕉さんはどんな句を詠むのでしょうか。芭蕉さんならこう詠むのではないかと思われる句を、私が慮って勝手に詠んでみました。
・下級生を 集めて殴る 上級生 (「五月雨を 集めて早し 最上川」のパロディ)
・アホくさや 馬鹿者どもが 喧嘩の跡 (「夏草や 兵どもが 夢の跡」のパロディ)
・たこ焼や 大阪弁飛び交う 留学校 (「荒海や 佐渡に横たう 天の川」のパロディ)
いつだか忘れましたが、来年の選抜大会の地区毎の出場枠が発表されていました。それによると、中国・四国地区は併せて5枠を割り当てられたようです。以前は中国地区3、四国地区3の割り当てでしたから、1減枠されたことになります。この減枠が、中国・四国地区にどういう影響を与えるのでしょうか。近年の選抜大会や選手権大会の実績をみれば、四国勢が中国勢を圧倒しているのは衆目の一致するところ。高野連は選抜出場校選考に際して、秋季大会成績や過去の実績は参考にすぎないと公言しています。しかし、中国勢と四国勢の力関係からすれば、「中国2・四国3」という割り当てが妥当な線。この割り当てだと、四国地区は現状維持、中国地区は1減ということになります。以下は、この前提に基づいて話を進めていきます。四国地区は現状維持だから問題はないとして、問題なのが1枠減の中国地区。中国地区は、岡山・広島勢と山口・山陰勢の実力差が年々拡大の一途を辿っています。現に、最近の秋季大会や春季大会の決勝戦は、岡山VS広島、あるいは岡山勢か広島勢の同県対決ばかり。もし2枠になったら、決勝に進出したチームが選出される可能性は高いでしょう。そうなれば、岡山や広島の高校ばかりになってしまいます。これでは準決勝に進出して、中国地区3番目の高校として辛うじて選抜に出場していた山口・山陰勢はさらに苦しい状況に追い込まれてしまいます。秋季中国大会は他地区とは異なり、同県勢に上位を独占させないような作意的な組み合わせ方式を採用しています。この作意的組み合わせ方式のおかげで、山口・山陰勢も準決勝には進出できたわけです。しかし、出場枠が2となった場合、この作意的組み合わせ方式をもってしても、上位2校に山口・山陰勢が残るのは至難の業。こういう状況を予測して、またぞろ中国地区高野連が、今よりもっと作意的組み合わせ方式に変更するのだけはやめて欲しいですね。たとえば、下図(04年度岡山県開催の場合)のように、岡山勢と広島勢を一つのゾーンに集めて全面対決させるというもの。岡山勢と広島勢の位置は毎年固定しておき、山口・山陰勢の位置のみ抽選で決定。名づけて、「岡山広島相殺トーナメント」方式。もしこんな方式が採用されようものなら、私は高校野球ファンをやめます。でも、非常識で作意的な組み合わせ方式を、厚顔無恥にもそ知らぬ顔で長年採用してきた中国地区高野連ですから、やりかねないな・・・。

■悪夢の岡山広島相殺トーナメント方式
中国地区高野連、こんな組み合わせ方式だけはやめとくれ!
監督さんの選手起用に関する2つの選択肢を以下に掲載しています。究極の選択だとは思いますが、あなたならどちらの監督さんを支持しますか?
1.部内では下級生を苛める、部外での素行の悪さでも定評のあるチームの中心選手がいたとします。こういうことを承知していても、チームが試合に勝つ為なら、この選手を起用する監督さん
2.実力は多少劣っているものの、いつも陰日向なく一生懸命練習し努力している選手をレギュラーとして起用する監督さん

両極端の例をあげたので、どちらの監督さんを支持するかは非常に難しいと思います。どちらを支持するかは、各人の高校野球観や人生観によるところが大。例は多少極端ではありますが、こういうタイプの監督さんは現実にいると思いますよ。1のタイプの監督さんは、チームの勝ち負けが自らの進退に直結する私立の強豪校に多いのでは。数こそ少ないでしょうが、公立の強豪校や伝統校にもいると思います。「高校野球は、教育の一環である」というよりも、「高校野球は、自己の名声を高めるための一手段である」という方に比重を置いていれば、他者がどんなに批判しようとも、1のような選手起用をするでしょう。勝てば官軍、勝てば名将ですから。一方、2のタイプの監督さんは、公立高校に数多くいそうですが、実際には少ないような気がします。「高校野球は、教育の一環である」と頭では分かっていても、勝敗に執着する熱き血を持っている人が多いので、なかなかできないそうでできないのが現実のようです。2のような選手起用をしたら、保護者が我が子可愛さに、陰で監督さんの悪口三昧。伝統校であれば、采配や選手起用にすぐ口を出してくるOB連や外野雀がいるので、もっと大変でしょう。個人的には、「悪さをした選手は主力であろうと、反省し態度を改めるまでは絶対に使わない」、「一生懸命努力している選手は起用する」という信賞必罰は、教育の基本。理想論あるいは書生論といわれようと、監督さんには「高校野球は、教育の一環である」という信念に基づいた指導や選手起用をして欲しいですね。
大会日程でいつもどうかなと思うのが、1球場4試合の日程。1球場4試合 の日程であれば、当然4試合目の試合開始時間はかなり遅くなります。前の試合が延長などで長引いて試合開始時間が大幅に遅れたり、4試合目の試合時間が乱打戦などで長くなれば、夜間の試合になることはさほど珍しいことではありません。しかし周囲が暗くなっても、ナイター施設のある球場では、試合の続行には支障なし。ここで問題となるのが、ナイター施設のない球場での1日4試合の日程。昨年の夏季大会で1球場4試合の日程を組んでいたのは、中四国地区の中では、香川・愛媛・広島・山口・島根・鳥取の6県。山口を除く5県の日程はすべて、ナイター施設のある球場で行われたもの。そう、山口はナイター施設のない球場で1日4試合の日程を組んでいた唯一の県なのです。徳山・宇部・下関・西京の4球場にはナイター施設があるのですが、私の観戦ホーム球場である柳井市民球場のみナイター施設がないのです。昨年同球場で行われた華陵高校VS岩国工業の2回戦は、延長14回にまで縺れ込む大熱戦。最終的には、岩国工業が5−3で華陵に勝利し、熱戦に終止符。この試合を観戦した人は、「延長に入った頃には、もうすでにあたりは薄暗かったし、最終回となった14回にいたっては、もう暗くてボールがほとんど見えず、野球ができる状況ではなかったね。あんな状況の中で、試合をやらされた選手たちが可哀想だったよ」と、語っていました。そして最後に、彼はこうも付け加えていました。「延長途中で、審判が日没再試合にすべきだった」と。こういう事態もありうるので、ナイター設備のない球場では、1日3試合までにすべきだと思っています。夏はいくら日が長いとはいえ、最悪の事態を想定して日程を組むのが、高野連の仕事だと思うのですが。今年の山口の抽選は、もうすでに終わってしまいました。残念ながら、今年も柳井市民球場では、1日4試合の日程が2日組まれています。昨年の教訓が、活かされていないようです。悪しき慣習・慣例も遵守し継承するあたり、保守王国・山口の本領発揮。「さすが山口、だから山口」って感じですね。
以下は、心配性の私の独り言です。無視してもらっても構いません。暗くなった時のナイター照明の代わりに、山口県高野連が蛍をたくさん集めているという噂も聞いていないので、4試合目が昨年と同じような状況になったら、ほんとどうするのでしょうね。暗くて打球が見えず、打球が選手の顔を直撃という悲劇が起こらないことを願っています。不幸にもそんなことが起こったら、業務上過失致傷ですな・・・。
駅や役所や病院などの公共的スペースばかりではなく、最近では一般企業のオフィスでも、禁煙化あるいは分煙化が進んでいます。禁煙化・分煙化への流れは加速することはあっても、鈍化することはないでしょう。しかし、禁煙化・分煙化の時代にあって、一向に禁煙化・分煙化が進まない場所があります。その場所とは、野球場。プロ球団がフランチャイズにするような立派な施設を持った球場であれば、喫煙スペースを設置することによって、スタンド内を全面禁煙にしています。しかし、ほとんどの地方球場は、タバコの紫煙が濛々と立ち上がる喫煙者天国であるのが実情。私のような気管支炎の持病を持つ嫌煙家には、球場はまさに地獄。隣にタバコを無神経に吸い散らすおっさんが座る度毎に、場所を移動せねばなりません。わざと咳をしても、大仰に手で煙を振り払うふりをしても、愛煙家のおっさん連はおかまいなし。蒸気機関車の如く、紫煙を吐き出しています。高校野球ファンには、本当に愛煙家が多いですね。私個人のタバコに対する恨みつらみは抜きにして、高校野球の大会が開催されている期間中は、スタンド内は全面禁煙にすべきだと思います。高野連は「高校野球は、教育の一環である」と公言していますし、特に夏季大会のスタンド内には高校生を始めとする未成年も多数来ているのですから。高野連がお達しを出して、せめて夏季大会期間中だけでも、球場内全面禁煙を実現して欲しいですね。球場禁煙化の話とは変わりますが、ある高校で野球部員の喫煙が発覚すると、高野連は当該野球部に対して注意や対外試合禁止などの処分を下します。選手は未成年ですから、喫煙は勿論法律違反。一方で、選手たちを指導する立場にある監督さんの喫煙率が異常に高いのが、不思議なところ。試合前あるいは試合後、ユニフォームを着た監督さんと思しき人物が、青空に紫煙をくゆらせている光景をよく見かけますもの。喫煙者の監督が、選手たちに「お前ら、タバコを吸うんじゃねえぞ!」と戒めても、説得力がないと思いませんか。選手たちは皆、心の中で、ジミーちゃんのように「監督さん、お前もな!」と毒づいていることでしょう。高野連は、球場禁煙化とともに監督禁煙化も推進してもらいたいものです。

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