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日付 : 2007年10月18日 (木)
件名 : 登記

今朝の勉強会は、遺産分割と登記。

夜中にテストを作っていて、忘れていることにびっくりした。

909条ただし書の第三者は、本文の遡及効を制限して保護できる第三者だから、遺産分割前の第三者だ。

とされる以上、遺産分割後の第三者は保護されない、という結論なら、分かりやすい。

でも実際は、結局前の第三者も後の第三者も、登記があれば保護される。
前の第三者は、権利資格保護要件としての登記。
後の第三者は、177条の対抗要件としての登記。

遡及効を制限して保護されるか、対抗要件を備えたから保護されるのかという理由の違いだけ。

ここで、177条が悪意でも(背信的悪意者でない限り)保護されるという考え方の説得力不足によって、更に問題は難しくなる。

分割前の第三者は、共有持分を譲り受けた後に分割によって無権利だったことにされては気の毒だから保護しよう、と説明できる。
でも、分割後の第三者は、分割によって無権利となったことを知っていても保護される。

これは、登記できるのに怠ったかどうか、という
政策的な観点が利益考量の一資料とされるためだ。
気の毒かどうかという観点だけで見ると、分割後に無権利者と知っていて譲り受けた第三者などは、保護されなくても全く気の毒じゃない。

ただ、債権自体には排他性がないことから生ずる二重譲渡同様に、先に対抗要件としての登記を得た方が勝つ、という177条の原則によって、登記できるのに怠った方は負ける。
ここは、単なる競争原理。

177条によって悪意者も保護されるのは、なぜだろう?
もしも善意(無過失)者しか保護されないとすると、177条の対抗要件を備えることに積極的になれない人が増えるだろうか。

・・・変わらない気はするけれど(−−;?やっぱり、制度を無視した人を制裁したいだけかな?

その点は今は措くとして、分割前後で保護される第三者の権利の範囲としては、無権利者となった者が分割前に有していた持分に限られる?

共同相続と登記では、勝手に単独登記して第三者に譲渡して登記を移しても、第三者は譲渡人の持分以外は取得できない。
その後に遺産分割がなされても、分割前の第三者との関係では遡及効が制限される結果、無権利者からの譲受人とはされない(第三者は譲渡人の持分をkeepできる)。
つまり、遺産分割前の第三者は、共同相続と登記と同じ結論のままでいい。

遺産分割後の第三者は、ただの対抗要件の問題として、登記によって優劣を決するが、これも譲渡人の持分のみ。
単独登記して登記を移転したとしても、自己の持分を超えては全くの無権利者という点は、他と変わらない。

続きは、後で。

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