シックス・ストリング・サムライ
SIX-STRING SAMURAI 1998年
監督:ランス・マンギア
脚本:ランス・マンギア、ジェフリー・ファルコン
ジェフリー・ファルコン、ジャスティン・マクガイア

子連れの男がギターと刀を武器に悪者を倒し楽園を目指す、という男のロマン(という よりマンギアとファルコンのロマン)を描いたのが本作です。ロックン・ロール・チャンバラ・ カンフー・ウェスタンという新ジャンルを確立したこの作品は、内容の「意味のなさ」から考え ても見事なB級作品に仕上がっていると言えるでしょう。
しかし監督のランス・マンギアと主演のジェフリー・ファルコンは、決してこの作品を「笑える 作品」にしたつもりはなく、「子連れ狼」「スター・ウォーズ」「マッド・マックス」などのテイ スト盛りこんだ「カッコイイ作品」を本気で作っていた事が作品の雰囲気から伝わります。 そのことがかえって「作品のバカバカしさ」に拍車をかけ、陶酔するかのごとく作品にのめり込 むことができます。しかしそのため、故意に笑いを取りにいったいくつかのシーンが、逆にその 酔いを覚ましてしまう結果になってしまったのが少し残念です。
本作を観たあとの感想では「ストーリーの無意味さ」もそうですが、なにより主演のジェフリー ・ファルコン(実生活でも武道の達人)の体術・剣術が非常にキレが良く素晴かった、というのが 挙げられます。リー・リンチェイ(ジェット・リー)との共演を心から望んでいるのは自分だけで しょうか。

1957年、ソ連は米国は占領。米国での自由の砦は「ロスト・ラスベガス」だけとなり、キング・エル ヴィスという人物が君臨していた。しかし40年後、キングが死んでからベガスはキングを求めるよう になる。キングになりロックン・ロールを伝導しようとギターを手にベガスに向かう者、その者達を 抹殺しベガスまでも支配しようとするロシア軍、地獄のほうれん草モンスター、などあらゆる者が ベガスに向かい動き出すのだった…。
ある少年を助け共に連れてゆくことにしたスーツでメガネのロックンローラー・バディはキング候補。 得意のカンフー・剣術を使って、次々と現れる敵をギッタギッタと倒してゆくうちに、ほうれん草モン スターや死神”デス”が二人に近づく…。

意味の無いストーリー・敵キャラはまさにゲーム感覚(横スクロールアクション系)と言えます。 観た後に「徳」になるものは何もありませんが「損」も決してありません。