二匹のヤマアラシがいます。 お互いに仲良くしたいと思っています。 二匹は相手と触れ合い、 できるものなら抱きしめ合おうと接近します。 けれど相手と触れ合うくらいに接近したときは, お互いの体をその針で傷つけあってしまいます。 ヤマアラシは仲良くしたいにもかかわらず, ある程度の距離以上にお互いは接近できなくなるのです。
この話はもともと アメリカ先住民族の間で伝わっていた神話らしい。 孤独な人間が誰かとつながろうとするときに感じる 葛藤やパラドクスではなくて、 一つの智恵として語り告がれていたそうなのだ。
相手とつながりたいのにつながれぬ痛みではなく、 上手に相手と距離をとることで上手な人間関係が築けるのだ、 という教訓だったわけである。
幸か不幸か、 人間はヤマアラシではない。
痛みや傷をともなっても踏み込もうとし、 その結果、踏み込まれた関係もある。
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